沈黙〜サイレント〜

ハリウッド界の巨匠マーティン・スコセッシ監督の『沈黙〜サイレント〜』が、先月の21日から公開されています。

原作は、遠藤周作の小説『沈黙』
「タクシードライバー」「ディパーテッド」で知られるスコセッシ監督が、28年の様々な障壁を乗り越え映画化した魂の最高芸術作品です。

映画は、キリシタン弾圧が激しい江戸初期の長崎を舞台に、ポルトガル人宣教師の目を通して描かれている。詳細↓
http://movies.yahoo.co.jp/movie/沈黙+-サイレンス-/358205/

公開から3日後の定休日に、私は、そうだ沈黙を観に行こう!と気がついたら開演まで45分しかありませんでした。

自宅より千葉ニュータウンの映画館までチャリで、行き片道12キロを全速力で走りました。

時速50キロをマーク。32分で、到着。ギリギリ間に合う。

観終えて遠い昔の故郷出津の子供の頃の懐かしい自然の中へ放り出されたような。
虫の声、風の音、波の音、雷の音次元を超えてしまった。

沈黙の中に答えは、ある。か…

なんだか魂が揺さぶられる、月曜日から3日間位は、なかなか眠れませんでした。

ハリウッドスターのスパイダーマンや、スターウォーズの主役が夢の共演。
日本の豪華キャスト浅野忠信、窪塚洋介、イッセー尾形、塚本晋也、加瀬亮、見応え十分です。
昔、握手して貰った片桐はいりも出てました。

撮影された地形や、風景も良く似ているところを探し当てましたね。
長崎の地形と良く似た場所を世界中、探したそうです。撮影地は、台湾。
映像が、とても美しい。

田舎のあの場所によくいるトンビも、出て来た。間違いなく、スコセッシ監督は、外海に来たんだ‼︎

遠藤周作原作の『沈黙』は、なんと私の生まれ故郷の隠れキリシタンの里と知られる外海地区がモデルとして創作されていています。

小説は、中学生の時に読みました。生まれ故郷の出津には海が見渡せる眺めの良い所に石碑があります。
遠藤周作文学記念館も、あります。

中学生の当時、朝日新聞に遠藤周作の「女の一生」が連載されており、私は、聖母の騎士高校へ行くことを決めたのも遠藤周作作品が後押ししてくれました。

こちらも、史実を交えた壮大なドラマなのでコルベ神父のアウシュビッツでの史実を入れてスコセッシ監督にキリシタン三部作としてぜひとも映画化して欲しいものです。
※テレビドラマでは、過去にキョンキョンが主演を演じてます。

映画を観て少年時代の忘れていたものが蘇ってきました。

修道院に入りたかった。

私の祖父は、司祭になる為、フランスの大学へも留学していたのですが、病気であえなく帰国。コルベ神父の教え子でもあります。

父は、聖母の騎士を経て東京の大学まで神学校にいたが、やはり神父にはなれず。

弟達も、マリア会と聖母の騎士へそれぞれ私が、勧めてしまい。
小神学校へ行ったが、あえなく…

私も、中学生の時、毎月手紙をくれた竹馬の友が、修道院にいて、修道士に憧れたが…

あらゆる面で自分に自信が無かった私は、結局は、聖母の騎士学園の寄宿舎の寮生となりましたが、修道院へは、行きませんでした。
中途半端な気持ちのまま3年間も
神父様からお声も一度かかったのですが、

子供の頃は、近くに教会があり神父様やシスターが、いて、毎日、ミサがあり、子供達は、けいこがあり、教理や歌の稽古があり、注意されたりおこられたりしていました。

今考えると、修道院みたいな生活、土地、風土ですね。
都会へ出た若者が、都会の教会へ馴染めないというのも、出津での風土や環境が、修道院レベル?であったからなのか。
人に馴染めなかったのか。
少なくとも、私は、都会の教会に馴染めなかったなあ。

子供の頃、
子供の誰かがシスターに聞いた。

「畑中シスターは、指輪をしてるけど、誰と結婚してるの?」

シスターは、答える。

「神様と結婚してるのよ。」

今でもそのシスターの眩しく輝いた笑顔は、忘れない。

神様と契約を一生交わすのは、容易な事では、ないのです。
シスターは、素晴らしい‼︎

遠藤周作も、若い頃はコンプレックスがあり、スコセッシ監督も小神学へ進んだが司祭になるのを断念したとの事…

文豪と巨匠と同じ思いとは、おこがましく到底はなばなしいのだか、挫折と苦悩の中である同じ所で、つまづいていたのかと思うと
この作品を改めて自分の中の一部として心に落ちました。

私の挫折など迫害で、苦しんだキリシタンに比べたら、取るに足らない小さなことでしょう。

弱気心にキチジローに自分を投影したか…
映画の中で何度も主人公ロドリゴを裏切り踏み絵を踏む、窪塚洋介扮するキチジローが、いるのですが、私は、自分の過去を振り返るとキチジローのように、大事な人に沢山出会い。その大切な人の期待を裏切ってきました。

キチジローは、裏切るが、また、幾度もロドリゴに謝りに行く、そのやり取りは、後半、なると滑稽にも見え、ちょっとユーモアチック。
キチジローは、ちゃんと謝りに行き、赦しをこうからまだ偉い。

私は、お世話になったのに謝れないでいる人達が、特に20代の頃、過去に沢山います。
もっと資が悪い、弱い人間でした。

50歳になろうとする己に
突きつけられた
魂の原点を見つめるいい機会となりました。

この映画は、遠藤周作の文学と日本の文化を忠実に描こうとするマーティン・スコセッシ監督の努力の結晶です。
そして強き者と弱き者への隔てなく慈愛あふれる目線と声が、沈黙の向こうに聴こえます。

さて、あなたには、どうみえるでしょうか?
ぜひにご観覧を♪ 

世界遺産として

平成30年には長崎の教会群が世界遺産登録が、待ってます。

今では、私の育った小学校も、閉校になってしまった過疎の出津。

4年前に帰った時は、家族以外に人に会ったのが、売店のおばちゃんとダイコンの変な人形とシスター、川にいたヤギ?おばちゃん一人でした。
ヤギは、神父様にお祝いの時に食べてもらうんだとか。昔からのタンパク源だもね…昔と変わってない。

この外海地区や、長崎の教会群が朽ち果てる事なく

迫害に苦しできた祖先達や、他国から命を投げ打った宣教師の思いは、世界遺産として永遠に歴史の記憶に刻んでそして多くの人に知って欲しいと心から切望します。

遠藤周作、マーティン・スコセッシ監督に感謝。

そして、ご指導して頂いた今は亡き、岩永神父、お世話になったシスター、神父様修道士さん達、家族、友に、皆様に感謝いたします。

江口 源

 

 

映画『沈黙-サイレンス-』アメリカ版予告編↓
https://m.youtube.com/watch?v=M2e_JmGfRlc

映画『沈黙-サイレンス-』本予告↓
https://m.youtube.com/watch?v=ncXm4ugms3k